認知症とは、一旦正常に発達した知能が慢性かつ持続的に低下した状態をいいます。
高齢者の進行性の認知症をもたらす大脳皮質の神経変性疾患であるアルツハイマー病は、認知症の原因として最も多いものです。
好発年齢は60歳以上で、女性に多い疾患です。
病理的所見としては、主に進行性の脳萎縮、神経原繊維変化、老人斑が現れます。
他にもマイネルト基底核の病変が著しく、コリン作動性神経の変性や低下が認められます。
症状は、何年にもわたって徐々に進行します。
初期には痴呆や失見当識、抑うつ症状が見られ、中期には失見当識の悪化や無気力、徘徊、そして、末期には高度の知識機能障害や運動機能障害が認められ、寝たきり状態になります。
治療は主に薬物療法ですが、治療薬はアルツハイマー型認知症における症状の進行抑制を目的に投与されます。
症状が軽度及び中等度の場合は中枢性コリンエステラーゼ阻害薬、中等度及び高度の場合はグルタミン酸NMDA受容体遮断薬が用いられます。